どう言ったもんか、と眉間に皺を寄せたまま。

凱司はテーブルに出たままだったライターを、カチカチ鳴らす。


小さな火が三度、ついて消えた。




「俺、雅ちゃん好きだよ?」


出したばかりの煙草の箱を、ひとつ凱司に手渡し、自分も一箱開けながら、鷹野はさらりと言った。


「重たく考え過ぎ。“俺が”、“雅ちゃんを”好きなのに」

「…おい」


動きも緩やかに、割り込むように雅の隣に腰をおろした鷹野に、凱司は舌打ちをした。


呆気なく目の強さを無くした雅は。

ゆっくり、ゆっくりと、二人を見比べた。



「…あたしの好きな人だと思われて、嫌じゃ…ないの?」

「ないよ?」

「…別に支障はねぇな」


「………なん、で?」


「…お前、それがそんな大層な事か?」


つまみ出した煙草をくわえ、火をつけた凱司の、見馴れた苦笑に。

雅の肩から力が抜けた。



凱司は。

さも当たり前のように、好きだと言い放った鷹野に。

何とも言えない腹立たしさと、多少の羨ましさを交えたような思いで、視線をやった。