「なんとか言え!!」

「………あ…」


絞り出すように発音すると、ふと凍っていた感情が、動き出した。

いきなり襲ってきた、すべてが真っ白になるほどの緊張と、恐怖。

押し潰されそうな後悔と、思いもよらなかった展開に、頭がついていかない。



「…いるかな…って…思って」

流れ落ちる雫にむせそうになりながらも、少女は視線を逸らさない。


「……馬鹿か!!」

「そんな怒んなくたっ……」

「怒らずにいられるかっ!!!」


ボタボタボタっと雫の落ちる前髪を鬱陶しそうにかきあげ、跳ね上げ、ガイは。


ダッシュボードに手を伸ばした。

雫、どころではない少女の姿を嫌そうに一瞥し、粗品と書かれたビニール袋を引きちぎる。


「……髪くらい…拭け」

「……は、ぃ」