すぐそばに、車の停まった事にすら、気付かなかった。


紫色の閃光が、辺りを一瞬明るくした事に、思わず首をすくめる。

と同時に突き飛ばされるように車内へと放り込まれ、雨風の音が。
遠退いた。



「…………」

「てめぇッ!!何してんだよ!!」


間近で見る、“ガイ”。

何が起こったのか、未だ飲み込めない少女に、怒鳴り付ける。


「こんな雨ん中、で!馬鹿みたいに座ってんじゃねぇ!!」



呆然と。
茫然と。

ガイの顔を見つめ、少女の思考は未だ止まったまま。

指先だけがじわじわとリアルに。


冷たく、痺れていた。