たぶん恋、きっと愛




突風が窓を揺らし、雨が鳴る。
轟くような振動と、空が割れるような音。


「泣くな。大丈夫だから」

むせながら、凱司の膝から落ちるようにへたりこんだ雅は、小刻みに何度も頷く。


「だっ、大丈夫…っごめ…なさいっ…っ」


噎せた涙も合わさって、ぽろぽろと止まらない涙を必死で止めようと、袖口でこする。

無言でその腕を掴み、雅の顔にタオルを押し当てた鷹野が。

そのまま、きつく頭を抱いた。


「………あんま、脅かすな…」

雅の肩に顔をうずめ、鷹野には珍しく、真剣に。
そう呟いた。



「昌也」

黙って見つめるだけしか出来なかった昌也は、凱司に呼ばれてようやく我に返った。



「今のは、救命行為だな?」

「え?」


何の事だかは解るけれど、敢えて聞かれる意味が解らない。



「…救命行為だ」

「そう…ですか」

「そうだ」



何故…。
何故そんな頑なに…?

しかも今。


「…はぁ」

ますます困惑した昌也は曖昧に、頷いた。