耳を塞いで。

閃光が目に入らないように、膝の間に顔を伏せる。

制服の表面からも、首筋からも、容赦なく雨は。

体を濡らして、震わせた。


突然。
左腕を何かに掴まれて。


強く、引かれた。


少女は、びくりと体を震わせて視線を上げた、そこ、に。


…薄墨色の、蛇、が。

その綺麗に描かれた無機質な目で、少女を真っ直ぐに見つめ、その肘を、掴んでいた。


「………っ!?」

「早くしろっ!!」


声に、聞き覚えはなかった。
が、引きずるように少女を立たせた、その蛇の持ち主は。

高価そうな金髪を、大粒の雨に濡らす、“ガイ”。


スクリーンの中から、突然出て来てしまった、“ガイ”。