食事、と言いつつも。
だらだらと酒を飲むせいで、いつまでもテーブルは片付かないまま。
ずいぶんと時間が経った気がする。
「ジンジャーエールで割るか?」
ウォッカを注がれ、少し目元が赤くなった昌也は頷いた。
緑色の細い瓶を二本持ち、艶消し加工された銀色の栓抜きを運んできた雅は。
そのまま凱司に、差し出した。
「………栓、抜いてください」
「…練習しろよ…」
呆れたように言いながらも、凱司は当たり前のように栓抜きを受け取った。
「だってこんな金属のフタついてるのなんか、ビール瓶とコレくらいしかないですもん……」
拗ねたように唇を尖らした瞬間。
カーテン越しに、チカリと、光が見えた気がして。
わずかに、ごうっ、と。
風が。
街路樹を掠める音が、した。

