たぶん恋、きっと愛




「え…? …ま…待って!それ違います!」

はい、じゃなかったです!


慌てて訂正しようとした雅の声を。
敢えて聞こえない、振り。



「雅ちゃん、雅ちゃん。朝作ってたヤツは? 貰ってきた紅茶と合うかなぁ」


なにしてんの、と。

立ち尽くす雅に笑いながら声をかけ、鷹野はそのままキッチンに立った。


「昌也、もう終わるだろ?デザートと食事、どっち先欲しい?」

手を洗いながら、機嫌良さそうに訊く鷹野に、昌也はちょっと耳を疑った。


「デザートってのは食後なんじゃあ…?」

何故か控え目に訊ねた昌也に、凱司は突っ込むな、と軽く頭を振った。



「とりあえずケーキ、って言うじゃん?」


さも当たり前のように言い切った鷹野に背を向けたまま、凱司が嫌な顔をした。



「……そりゃ“とりあえずビール”っつー台詞であって、ケーキじゃねぇな…」


ああもう、どんどん馬鹿に磨きがかかる…と頭を抱えた凱司の正面、昌也は。

…そんなに甘党だったっけ?

と、どことなく以前とは違うような空気を、鷹野にも、凱司にも。
感じていた。