途端、吹き上げる突風。
走る、閃光。


「きっ……ぁ……!!」


胃が、縮んだ気がした。

雨脚が異常な程に強くなる。
少女のビニール傘は、あっという間に骨を折り、裏返る。


大粒の雨が顔を打ち、少女はその場で俯いた。

膝を抱え、うずくまったまま、思わず涙ぐむ。


まるでアスファルトから降っているかのような雨に、みるみる体温は奪われた。


閃光に続いて空気を引き裂く轟音に、体の中が泡立つような、恐怖。

壊れた傘はどこかへ引きずられるように無くなり、顔を流れる水は息を止めるほどだった。


周りが、何も見えない。


激しい雷雨に頭を抱え、今更“雨宿り”の言葉も思い付かないのか、少女はただじっと。

固く、うずくまっていた。


ガタガタと、体が震える。

寒さと、怖さ。

こんな天気になるならば、来なければ良かった。


雷が、鳴るなんて。