日が暮れると、立ち上がる。

何をしに来ているのか、わからない。


綺麗な金髪と、腕に見え隠れする刺青。

静かに煙草を吸っていた、“ガイ”。


その、彼の座っていた辺りは薄暗く、吹き込む雨に濡れて、今は。

誰もいない。


散らばる吸殻は風に飛ばされ、溝を流れる雨水に、元の姿を失っている。


空が一瞬、光った気がした。



……雷…?

どこかでその音が聞こえた気がして、少女は傘からおずおずと空を、見上げる。


激しい雨と。
強い風。

もしかしたら、雷。


ざわり、と少女の肌が粟立った。