すっかり真っ暗になった空。 冷気が一気に体に吹きすさび、いよいよ迫った冬を実感する。 「さみぃなぁ」 黒いエプロンのポケットに両手を突っ込みながら呟いた。 隣に並んだ彼をそれとなく見上げると、学校で見る彼とはまるで別人。 あの寝ぐせまじりのうねった髪ではなく、まっすぐな髪はサラサラと風になびき、ランタンの明かりで艶がかっている。 聞き取りにくいくぐもった声ではないし、むしろハキハキしていて、気だるそうな雰囲気とは無縁な、爽やかな快活さが滲み出ているように見える。