有紗がいる時にはそこまでコロコロ表情は変えない。 人によって使い分けている訳ではないのだろうけど、私を含め、お互いに知らない顔はどれくらいあるのだろう。 二人といると楽しいけれど、時折複雑な気分にもなった。 芽衣子はふいに携帯を取り出すと、何かに気づいたのか、はっと驚いた顔になり、帰りの支度を始めた。 「ごめんちーちゃん、今日お母さんと出かけなきゃいけなかったんだ、先帰るね、ごめんね!」