心配そうに眉をひそめながらこちらをうかがう芽衣子。 私は『行ってくる』、という合図の代わりに、目をパチッと見開いて無言の合図を送った。 それに芽衣子はこくっと短く頷いて答えた。 (いざ出陣!) 芽衣子の席からそのまま机脇を歩いていくと、突き当たりである後ろのロッカーで、群がって騒ぐ男子達が目に入る。 少々面倒だけど、ロッカーに用があるふりをしていけばいいだけだ。 ドキドキと好奇心に似た鼓動を響かせながら、ついに来た。 塚田航基の机。