あの夜の時よりも、やけに今夜は静かすぎる夜。
胸の鼓動だけが騒がしい。
いつも側で見守ってくれていたはずの月も、いつの間にか眠ってしまったのだろうか。
そんな風に思ってしまうほど。
彼の揺らぐことない、強く真っ直ぐな眼差しが私に向けられる。
「俺にとって大切な人は千鶴だよ」
キャンドルの炎に負けないくらい、胸が熱くなっていくのがわかった。
「大切なものだから、大切な人に持っていてほしい」
思いを受け止めない理由が見つからなかった。
神話に込められたメッセージと、Lampで伝わるメッセージが重なった、おとぎ話を超えた、かけがえの無い世界へ舞い降りた、そんな瞬間だった。
私が選んだのは、ランタンのネックレス。
このランタンは少し変わっていて、そもそも肝心な灯りがなく、外枠だけしかない。



