夜空にランプ



「その中でもし気に入ったものあれば、お前にあげるよ」


「ふえーーーーーーーーーーー?」


「ん?だから、気に入ったものが…」


「ちょちょちょ、ちょっと!だって塚田君のお父さんとお母さんが大事にしてたものなんでしょ?そんな簡単に私なんかが貰っていいわけないじゃん!何言ってんの!びっくりしたなーもう」


あまりにも予想外の言葉に早口で返答する。


「簡単なことじゃねーんだけど」


「え?!」


「なんか、よく覚えてねーけど、でも、小さい頃に母さんに絵本読んでもらったときに、いつも言われてたことが一つあって。それは、これから先絶対に何があっても、神話の雑貨は売らないこと。でも将来大切な人ができたときには、神話の雑貨をプレゼントしてもいい。そう言われた。そんときは正直、大切な人って意味、よくわからなかった。父さんも母さんも、ばあちゃんじいちゃんも大切だって思ってたけど。でも今ははっきりわかる」




キャンドルの火が小さくなり、明かりもさっきより落ち、キャンドルを挟んだ二人の距離が自然に近づく。