それから塚田君はじっと動かず、もう口を開こうとしなかった。
集中治療室から先生が出てくると、二人して弾かれたように立ち上がった。
手術や病名の説明を受けるため、家族の方をと先生に呼ばれたとき、塚田君は迷わず私を呼んだ。
一瞬ためらったが、すぐ頷いた。
病名は心筋梗塞で、周囲には言っていなかったが、元から心臓が弱かったらしい。
一命を取り留めたものの、血栓がいくつか見つかり、容態が安定しだい、大掛かりな手術が必要だと宣告された。
塚田君は慌てることなく、真剣に説明を聞いていた。
「君達以外に…ご家族の方は?」
終わりかけに先生が険しい顔をしながら聞いてきた。
「いません」
彼はそうはっきり告げた。



