私の涙が止まるまで、しばらくそうしていてくれた。
彼の肩越しに見えた月明かりは、レジンの三日月のように、静寂の中のたおやかな色を宿していた。
でもそこには繊細な孤独さはなかった。
ずっと遠くにあるはずの月は、近くで見守っているかのように、私達のいる部屋を光で満たした。
今日、初めて知ったことが沢山ある。
月明かりがこんなに明るくて、優しいこと。
誰かを好きになって、思いが通じあって、そして側で感じる呼吸や鼓動、温もりが、儚い夢の中の出来事のように、とても愛しいこと。
恥ずかしくて、嬉しくて、くすぐったい。
遠くなんてない。
こんなに近くに彼がいる。



