「えー?どこー?見えませーん」
私のマネしてとぼけたことを言ってくる。
「塚田君だよ!もう…やだ」
叫んだ拍子にパッと顔を正面に向けてしまい、彼と目が合い、慌ててすぐに逸らした。
「やだって。ったく素直じゃねーよな。ま、俺もだけど…」
聞き取れないくらいくぐもる声の後、ふわっと羽根のように優しく、私の頭に手が置かれた。
今度ははっきりわかる。
すぐ近くに感じる。
心地のよい残響が、一番よく聞こえてくる。
そっと撫でる彼の手は、恥ずかしいけれどとても落ち着き、穏やかになっていくのがわかると、今度はその安心感に涙がゆっくり零れた。



