「げほんっ…だから、俺が好きなのは、熊谷。お前だよ。いい加減気づけよ、バカ」
「ウソだ」
「なんでここでウソつかなきゃなんねぇんだよ」
「塚田君が好きになる人は、もっともっと大人っぽい人だよ。ありえないよ」
涙は止まったけれど、何だかもう頭が真っ白になっていた。
自分が言う言葉さえも現実味をおびていないような。
まるで夢の中で話しているような…。
「そんなのお前が決めることじゃねーだろ。熊谷はどうなんだよ。好きなやつ、誰なんだ」
そう言って、つかんでいた肩から手を静かに離した。
「……目の前にいる」



