新月の日や満月の日の月の満ち欠けによって、人の顔がわかる程度の明るさに保たれているのには訳があった。
「リンコさん、お菓子ありがとうございました。あの、お聞きしたいんですけど、どうしてスペシャルナイトを始められたんですか?テーマパークみたいですごい素敵なイベントですよね」
芽衣子と長椅子に腰掛ていると、芽衣子がキャンドルの火を付け直しにきたリンコさんに声をかけた。
「ふふ、ありがとう。そう言ってもらえてとっても嬉しいわ。きっかけはね難しいことじゃないのよ。私が子供の頃の東京は明かりもほとんどなくてね、天の川だって見えたの。今じゃ考えられないかもしれないけど。電気はとても便利なものだけど、どこか寂しいのよね。ふふ、時代錯誤かもしれないわね。でも、自然にしか出せない明るさは、心の距離も近づけると思うの」
つけたばかりのふんわり灯るキャンドルから優しいバラの香りが漂った。
リンコさんは私達の隣に腰掛け続けた。



