彼の好きな人が自分だったらいいな、なんていう都合のいい考えが横切らない訳じゃないけど、今の臆病でちっぽけな自分では、きっと告白なんてまともにできないだろうし、ましてや好きになってもらえるはずがないと思った。



きっと、今までの自分だったらすぐ諦めていたかもしれない。


告白なんて、どうせ無理だと決め付けて。



でもそれだけはしたくなかった。




芽衣子だって、勇気を出そうとしている。






何もしないで諦められない。




かつてない貪欲な気持ちは、勇気をもたらそうとしていた。



歩調が、少しずつ速くなっていく。



ドーマーから差し込む夕陽が、窪んだ天井にダイヤのような陰影をつけ、部屋の中を柔らかく彩る。

それは木々の間に差し込む、無邪気な木漏れ日のようだった。