好きな人がいるかどうか、知らないほうがずっとよかった気がしてきてしまう。
これじゃあ、いつもいつもその存在がちらついてしまう。
(どうしよう…。誰なんだろう…)
もやもやしながらふいに横の壁に目をやると、立てかけられている梯子に気づき、梯子をてっぺんまで目で追うと、そこには小さなドアがあった。
まるで小人の部屋のよう。
そしてそのような壁の仕掛けは部屋のいたるところで見つけられた。
窓はないのにあたかもあるように窓枠だけがあったり、隅には園児ほどの高さのドア。
壁につけられた水は出ない蛇口の下には、ちゃんとブリキのバケツが置いてある。



