リンコさんはきょとんとしつつ、すぐにっこり微笑むと針を針山に刺し、丸メガネを外した。
「少し長くなるわ。こっちでゆっくり話しましょうか」
そう言って、リンコさんはカフェスペースへ促した。
私は二人分の紅茶を用意した。
「航基のお父さんとお母さんがね、旅先で聞いた神話らしいの。北欧のある村でだけ伝わるそうよ」
私はカップに両手を添え、不思議な絵本の世界の秘密が、ゆっくり紐解かれる瞬間をドキドキしながら待った。
リンコさんはいつも以上にゆっくりした口調で、いつしか神話の世界から聞こえてくるような、そんなまどろみさえ携えながら話した。
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物語の主人公は神に仕える妖精の男の子と女の子。
銀色と金色の羽根をつけ、魔法も自在に操れる妖精の一族の二人は同じ村に住み、幼い頃からいつも一緒にいた。
まるで兄妹のように仲がよく、たまにケンカもした。
そんな二人はいつしか恋に落ちた。



