「へー…あの子が例の」 「航基君のお嫁さん候補現るか!」 「やーん、ちょっと妬けちゃう」 「何言ってんのー、あはははは」 店内の長椅子でいつものように絵本を広げていると、話す声にぴくぴくっと耳が反応。 (え、お嫁さん?誰のこと?) 何だか途端に胸騒ぎがした。 「でもそしたらリンコさん、将来安泰じゃない?ねえ?」 「そうね…、どうかしら。先はながーくなりそう。あの子達のことだから」 「そうなの?」 「ふふふふ」 意味深に話すリンコさんの方をこっそり見ると、パチっと私にウィンクを投げた。