飽き足らなくなり、もう一つの机を蹴ろうとした寸前で、塚田君が私の腕を引っ張って止めた。 「もう、いい」 気づくと、廊下でも他のクラスからの人だかりができていた。 クラスにいた人達は全員教室の隅に寄り、ナイフ事件の時よりも遥かに私との距離を取り、驚きの表情を浮かべていた。 五十嵐さん達は何も声を発することなく、ただ呆然と私の席で立ちつくしままだった。 人生で一番声を出したかもしれない。喉がいがらっぽく感じた。 もう完全に放心状態だ。