夜空にランプ



「うん」


「今までそうやって誰かにぶつけたこと、あるか?」


「……ないかも」



凛とした真剣な目が私を捉えてくる。


「一度くらい言ってやれよ。ふざんけんなって。ばかやろーって。もう、前の仲に戻れねぇかもしんねー。でも、一瞬でも友達だったんなら本音ぶつけてこいよ。今の熊谷が言いたいこと」


「そりゃあ言いたいこと沢山ある。でも怖くて」


「じゃあ…逃げろ。言いたいこと言ったら全力で走って逃げればいいじゃん」


「そんな簡単に言わないでよー、まじなのに」


「…本音ぶつけることで何か変わるかも。変わらないかも。でも熊谷が一番変わるかもしれねーな」



なぜだろう。


思った言葉が素直に出てくるようになっている。


さっきまで散々言葉が浮かんでこなかったのに。