「店手伝うようになったのは、中学だったかな。バイトとして始めたのは今年から。元はここ、じいちゃんとばあちゃんの手芸店だったんだ。そんで、じいちゃんの息子、俺のお父さんがお母さんと引き継いでくことになったときに、雑貨屋を始めることになってさ」
彼は前に向き直ると、時折私と視線を合わせながら話してくれた。
今まで触れずにいた、家族の話を。
「お父さんとお母さんは付き合ってる頃から海外旅行が好きで、そこでありとあらゆるアンティーク雑貨を買い集めたんだって」
「ひょっとして、ここにあるものもそうなの?」
店内を見渡す私に彼は頷いた。
目を細めて微笑むけれど、どこか切なげで。



