「今日休みなのに、ごめんね。作品作りしてたんじゃない?」
「いや、大丈夫だよ。今そんな切羽詰ってないし」
紅茶の入ったカップを二人分テーブルに置くと、塚田君は向かい合わせに座わり、頬杖をついて横を向いた。
言葉が浮かばない。
これじゃこの前と同じになってしまう。
「そう言えば、いつからLampやってるの?塚田君が高校に入ってから?」
とっさに浮かんだのはそんな当たり障りのない言葉だった。
だけど、それは会話を埋める簡単な話題ではなく、彼の本当の姿を知るきっかけになるものだったことに、後から気づいた。
本当に私は何も知らないままだった。
彼は穏やかな曲がそっと流れ出すように、静かな店内でゆっくり言葉を紡いでいった。



