会釈の一つだってすごく丁寧。


確かに彼は、学校では寝てばかりか、ほとんど出てこない謎だらけの生徒。


でも本当は違う。


誰よりも真剣なことが彼にはあるのだ。

同じサボるにしたって、意味が違う。



彼と私は、違う世界にいる。




どこにも行き場のない、この感情と似た何かを、Lampで見たことを思い出した。



(確か、アルミのトレーに入ってた…三日月の…)


スタンドライトの薄明かりの中、長机に置かれている雑貨を目を凝らしながら探した。


隅から隅まで見てみたけれど、結局見当たらず、落胆してまた椅子に腰掛けた。