全部なかったことになんてできない。
ひたすら無力でしかない今。
逃げたい衝動だけが私にしつこくまとわりつく。
歯を食いしばり涙を堪え、紙をビリビリに破くとゴミ入れに投げ捨てた。
このまま家に帰りたくはない。
誰にも会いたくない。
私が急にいなくなったところで、学校でどうなってるかなんて、もうどうでもよくなっていた。
親に連絡されるのは面倒だなと、頭をよぎったりはしたけど。
いつもカバンに入れてあるトイカメラに手を伸ばした。
知らない道を探しに行こうと思いついた。
知っている道ではなく、知らない道を。
知らない風景を。
知らない空の色を。



