戻る最中、涙がこみ上げてきていた。
でも我慢した。
本当に泣きたいのは芽衣子の方だ。
私が泣くのは違う。
芽衣子の笑顔は人を和ませる。
多分、そんな人は初めてだ。
私は芽衣子と出会ってから、ずっとそう思っていた。
笑顔がない日はないというくらい、いつも穏やかに私達の中にいた。
ずっとそうやって、見慣れていたはずの笑顔だった。
だけどさっき振り返ったときに見せた笑顔は、なんだか芽衣子の笑った顔を初めて見た日、ふんわりと柔らかそうな雲がいっぱい浮かんでいた、淡い春の空の日を思い出させた。
どうしてなんだろう。
この時はただ、不思議な感覚しかなかった。
それが今後を暗示していたことだと気づいたときには、もう遅かったのだ。



