ここにいればきっと心は落ち着く。和らぐし、嫌な気分も忘れる。
でも、そんな逃げる場所にしてしまいそうな自分が嫌だった。
だから長く居てはいけない。
好きな場所をそんな場所に変えてしまわないように。
塚田君とろくに目も合わさないまま店の外に出ると、彼は追いかけるように店から出てきた。
「あのさ、来週の月曜、スペシャルナイトだから」
「そうなの?うん、わかった。行くね」
「おう。じゃあな、気をつけて」
「じゃあね」
橙色の灯りを照らすランタンで、辺りがほんわか明るい。
塚田君はそっと静かに微笑んでくれた。
ランタンの灯りのせいか、いつもより優しく見える。



