聞きたくないこと、見たくないこと、したくないこと、言いたくないこと…
大人になればなる程増え、抱えるものは大きくなる。
いちいち拒んでばかりいられなくなる。
そしていつからか、見てみぬ振りやそれとなくやり過ごすことを身につけていく。
正直、駄々こねていた女の子が羨ましいとさえ感じた。
そんな時期が自分にもあったことを忘れ。
何でも思うようにはいかないけれど、今度はきっと、ぬいぐるみ買ってくれるはずじゃないかな、とぼんやり思った。
カウンター越しから塚田君が声をかけた。
「こぐまちゃん、何か飲んでく?温かいの出すよ」
「あ、いいよ。今日はもう帰るから」
「え?…もう?」



