この異変には、薄々クラスの子も気づいているようだった。
時々、妙な視線を感じていたから。
どうしていたずらは芽衣子ばかりなんだろうと思っていた矢先、今日また起きてしまった。
「なに、これ」
「……。」
昼休み、図書室に行っていた私と芽衣子は、戻ってきた廊下でクラスの子に呼ばれた。
詳しいことは言わずに血相を変えた彼女にとにかく急いで付いていくと、空き教室の黒板に、芽衣子のフルネームとともに、ありとあらゆる根も葉もない、酷い噂や罵声が書かれていた。
「私さ、さっきそれ書いてるの見ちゃって。もしかしたら、違うとこでも書いてるかもしれない」
その子はそれだけ言うと、足早に去っていった。



