夜空にランプ



「そこのこぐまさん。おうちに帰らなくていいのかな」


「へ?私?」


すっとぼけた顔で聞くと、塚田君はこくりと頷いた。


「やけに楽しそうに見てるけど、どうした?」


(ばれてたか…)


「気づいちゃったんだけど、ちょっと暗い感じが、こう、おとぎの国を彷彿させて、わくわくするんだよね~まいったわ。私こういう雰囲気好きなんだー」


「ぷっ、何かすげー無邪気だな。くっくっく」



彼は口に手を当て笑うのを堪えた。

そんな風に笑う姿も初めて見る。



高鳴る胸の音の意味は曖昧に、でも心地よく、ごく自然に響いていた。