人には決して近寄らないが、道案内のように人の前を、花屋の角から店前まで先を歩く。 ただそれだけ。 この間奥さんから聞いところ、名前は[くるみ]というらしい。 妙に賢い猫だ。 相変わらず目を合わさずツンとそっぽを向いている。 歩き出そうと足を踏み出すとすかさず、タタッとくるみは私の前に回った。 てくてく歩き、時々ちらりと確認のように、こっちを振り向くのがいじらしい。