わざとらしく肘でつつきながら聞いた。
「えー、だってあんな顔見たらもうかわいくって」
ふにゃっと芽衣子の柔らかい笑顔がほころぶ。
「おやー、もしかしてー」
「何?」
「これは怪しいですね」
「はは?怪しくないって、早く行くよ!」
なんとも明らかに動揺している。
自分だって本当は塚田君に声かけられてドキドキしていたけど。
先に前に走り出した芽衣子の横顔は、ほんの少し照れているように見えた。
何だかこっちも胸がうずうずするような感覚で、これからの二人の話の話題に期待が膨らんだ。
冬の一時間目の、しかも外の体育に沈んでたけど、今はそんな気分さえどこかに行っていた。



