「ちーちゃん、あと一つ、お願いいい?彼氏と待ち合わせしてて、遅刻しちゃって」 「え?何?何?その設定」 「急いで待ち合わせ場所まで走っていくっていう…感じで」 「感じって」 「はい、お願いします」 芽衣子は思いつきのシナリオを言い終えると、さっと手を前に出し促す。 まるで本当のカメラマンのように。 こんなことは初めてではなかった。 毎回、お互いに色んな設定を提案するのも楽しみの一つだったから。 その度モデルの方は困るけれど。 彼氏なんていないんだから、どんなもんかわからない。