家からは都心も近いけれど、滅多に行かなかった。
下町の風情は、慣れないながらも、親しみやすさを感じることができたから。
それにやっぱり、大きな交差点やごった返す人混みはどうしても苦手だ。
下車した駅から徒歩で数分程度。
大通りではなく、野良猫の散歩道のような細い路地に小さなお店は顔を見せる。
初めて歩く道で、何が待っているんだろう、素敵なお店と出会いそう、そんな予感が働き途端に心が弾む。
今日行くお店は実は二回目。
線路沿いにちょっと歩き、花屋が見えてくればそこを左に曲がる。
すると、ちらっと後ろを振り返り、またゆっくり歩く気ままな猫に出会う。
そうすれば、もうすぐそこに雑貨屋さん。



