むくっと体を起こすと背伸びをして立ち上がり、自分の席に行きリュックを掴んだ。
とっさに私は声を掛けていた。
「帰るの?」
学校が終わるまであと6時間目の授業を残しているだけだ。
「うーん。やりたいことがあるから。あ、先日はどうも」
ぼそぼそ低い声で言いながら、ぺこりと会釈した。
「いえいえ、こちらこそ」
「じゃ、そういうことなんで」
それ以上はしゃべらず、ひらひらっと軽く手だけ振って、彼は来た時と同じようにのっそり教室を出て行った。
せっかく来たのにもったいないような気もするけど、彼にとっては学校よりもお店のほうが大事なのかもしれない。



