まだドキドキしていた。
偶然立ち寄っただけのお店はすごく素敵な雑貨屋さんで、初めて来たのにどこか懐かしく、居心地の良いお気に入りのお店に思った。
そこには塚田君が働いていて、学校で見る姿とは全然違った。
帰りも送ってもらうことになって…。
頭の中で順序よく整理しようとすると、胸が落ち着かなくなった。
耳に残る静さに優しく響いた彼の声。
(あ、そういえば私の名前。知っててくれたんだ)
思い出したように後ろを振り返る。
もう彼の姿はなかったけど、名前を知っていてくれたことに、また胸の中をほっこりさせた。



