でも、あの日と違うことがある。 慣れない寒さの中、さっきの火照った温度が冷めきらずにまだ続いている。 戸惑いもあるけどそれも何だか心地良い。 ランタンの明かりがまだ心の中を照らしているみたいに。 曲がり角まで来た時、見慣れた道に出た。 微かなピアノの音色が途切れ途切れに聞こえてくる。 近所でピアノ教室を開いている家があり、自宅に近づくと時折ピアノの音が聞こえてくるのだ。