戸惑いつつもお握りを口へ運び、パクリと一口食べて、咀嚼する。


シンプルに塩で味付けしてあるだけなのに、


「……美味しい、です」


とても美味しかった。

ああ、そういえば久しぶりの食事だ。
空腹、ということを忘れるくらいに何も食べなかったから。


一口食べると逆にお腹が空いてきた。


もう一口食べると
何かが入っている。

鮭、かな?


モグモグと、ひたすら食べていると

ふっ、と永倉さんが笑う気配がして、口の端に触れられた。


「米粒、付いてるぞ」

「っ、あ、ありがとう…ございま、す」


触れられたのは付いていたお米を取ったからなんだろう…ああなんか恥ずかしい…!

カアッ、と顔が赤くなるのを自覚して、俯く。


「握り飯、もう一つあるが」

「いっ、いいです、お腹いっぱいです」

「…一個しか食べてないだろう」

「そうですけど…」


本当にお腹いっぱいになったのに…。

多分、胃が小さくなってしまってるんだと思う。