「え?でも、克幸には彼女―――って私か。……が、いるわけだし?」

考えもしなかった事に私はしどろもどろになりながら答える。

しかし、自分で自分を『彼女』と言うなんて未だに恥ずかしいんだけど。
顔が熱くなる。

けれど、旭はゆっくり首を左右に振った。

「それはそうだけど。……さお、世の中にはね、彼女がいてもアピールしてくる子がいるのよ?」

「―――えっ!いや、あの、うん、う……噂には聞いてるケドなっ」

そうだ!
その手の話は私の2人の姉達がよく話してるし、知ってるつもりだ!

けど……、自分と克幸の事に置き換えた事がなかったのは確かだな。



「まぁ、伊波くんは多分心配ないと思うけど、気を付けなさいね」

「うん……ありがと」

厳しい顔をする旭に、私はとにかく頷いた。