煙草をもみ消して、苦笑してしまった。 我ながら、おかしい。 もう何度、心の中で深音を呼んだだろう。 本当に、二度と会えないみたいじゃないか。 胸に苦しさを感じて、ため息をつくと、白く色づいた。 それが消えて、待ち合わせの相手の姿が見えた。 それは。 白いコートに、黒いマフラーを巻いた女。 紗江だった。