電話を切り、コートのポケットに入れようとする。 しかし慣れない左手のせいか、ケータイはカシャンと音を立て、地面に落下した。 「あーあ……」 古い折りたたみケータイを拾い、広げてみる。 幸い、機能に支障はないようだ。 ただ、ボディに傷がついただけ。 ……俺みたいだな。 俺はしばらく消えないだろう腕の傷を抱え、一人で駅を歩いた。