「実は、もう作っちゃったの……。

おかげで課題はギリギリだったけど」



深音は、俺をチラリと見て、イタズラっぽく笑った。


お前なぁ……課題を先にやれよ。



「ホント?どんなの?」


「白。あとは、お楽しみ」


「えぇ~俺等はどうすんのさぁ」



口を尖らせた崇文に、深音は真面目に返す。



「絵的には、スーツがあうかも……翼さんや渚さんは、ありますよね?」


「俺は、就職活動してたからね。

翼坊っちゃんは知らないけど」


「バカにすんじゃねえ。スーツくらい、ある」


「俺も、春に入学式で着たやつでいいかな」


「じゃあ、それで」



深音がニコリと笑って、全てが決定した。



スーツなぁ。


あるっちゃ、あるけど。


あれ、食事会のために紗江が選んだんだよな……


絶対、細身が良いとか言って。


あぁ……いつ、連絡しよう。



「じゃ、解散で」



崇文が、駐車場で言った。


ちゃっかり渚のバイクの後ろにまたがって。



「深音、乗れ」


「あ……ありがとうございます」



例のストーカー騒ぎ以来、俺は練習にも車で来るようにしていた。


遅くなった時は、必ず送っていく。


SPみたいだなと、渚に笑われた。