親のためじゃない。 紗江のためなんかじゃ、決してない。 深音や、崇文のためでもない。 陸のため……は、少しあるかも知れねぇけど。 俺は、俺のために。 もう一度、ベースを弾いて良いのだと。 思うように生きて、いいのだと。 誰が言ってくれたわけでもない。 それでも何故か、つっかえていた胸の奥の罪悪感が。 やっと。 昇華していくような気がした。