菜の花の君へ


予定通りに翌日のお昼過ぎに、マンションのチャイムが鳴った。


「はーーーい。」



「ただいま。あ~~~あんまり腹が減ったから、駅前の店によって料理長にちょっと食べさせてもらったよ。

はい、これは智香の分。はりきって作ってくれたお弁当だ。」



「ええっ!でも私・・・お昼の用意しちゃったのに。」



「ああ、まだ腹ペコだからもちろん智香の作ったのも食べるって。」



「はいっ。じゃ、お弁当用の取り皿も出して並べるね。」



(アレ・・・?)


智香子はこんなやりとりをふと思い出した。

マンションのダイニングキッチンで、ご飯とおかずを並べる日常。



「和之さん・・・。」


(だめだめ。私、何を思い出してショック受けてるの。
それに・・・なんか胸が熱くなる感じが・・・。

ショック?どきどき?私・・・変だよ。)