湯河の顔をまじまじと見つめながらハデな女は声をかけた。
「長戸のお嬢様、学校に番犬にもならない犬は連れて来ないようにとたくさんの人から注意をうけているはずだが・・・。
君は新入生全員から嫌われたいのかな?」
「まぁ、そんなことはなくってよ。
ほんとに、このコが今日はとっても興奮しちゃって走り出しちゃったんだもの。
でも、止めてくれてありがとう。
お礼も兼ねて我が家のパーティにぜひ参加していただきたいんですけど・・・っていつもお誘いしてるのに、あなたは来られないわね。」
「そういうのにぜんぜん興味なしだから。
それより、その犬っころを連れてさっさと帰りなさい!
新入生たちが怖がって全部のサークルのスタッフが困っている。
早く帰らないと、君の評判はどんどん悪くなるばかりだと思うがな。」
「まぁ!!わかったわよ。フン!」
トレーナーが犬を抱えて高飛車な女とその場を去っていった。
「なんてやつらだ・・・。」
湯河は他のサークルのリーダーたちから礼を述べられたり、手を振られたりして周りからの信頼は厚いようだった。

