菜の花の君へ


智香子は湯河に放課後の活動に参加しますと言ってその場を分かれるとその後、那美と講義を受けた。



そして午後の講義は1限だけだったのでその後、少し身をこわばらせながら、湯河とサークルの仲間たちと合流して久しぶりにボランティア活動に参加するのだった。



和之の死はとても悲しいものなのに、行動は現在スムーズに行われている。
実際の生活というのは落ち込む間も与えてくれないものなのか・・・。

いや、それだけじゃない。



ひとりぼっちで和之と暮らしたマンション住まいをしていたら?と考えてみると、あれこれと気疲れする毎日だけど、覚えなければいけないことや初対面の人と嫌でも話をしなければならないことなどで落ち込む暇がない。



それをすべて与えたのは和音ではないのか・・・。



智香子は少し自分に都合のいいように考えてしまっている?・・・と思いながら夜まで仲間たちと公園3か所の掃除に出向いた。




そして、3か所目のゴミを片づけているとあたりは真っ暗になっていた。



「みんな!お疲れさん。今日はこれで終了です。
各自、忘れ物してないか確認して帰ってください。」



湯河が指示をして皆、帰宅準備を始めた。



「あれ・・・智香ちゃんがいない?
おい、坂下智香子・・・じゃねえ。中務智香子はどこで作業してた?」



湯河が近くにいた数人に尋ねると、トイレの向こう側だと返事が返ってきた。



するとトイレの向こう側を智香子と掃除をしていた女子メンバー1人が走ってきて声の届くところまできて叫んだ。



「すいませ~~~ん!救急箱持ってきてくださーーい!」



「どうした?智香ちゃんがけがしたのか?」



「違います、足にけがをした男性がいて智香子が止血してますーーー!」



湯河は救護担当のメンバーを先に向かわせた。



「あ、救急箱です。すぐに消毒と応急手当をして病院に連れて行きますからね。」



「すみません、何から何までお世話になってしまって。」


智香子が傷の手当をした男は名刺を差し出した。